大阪城東福音教会

聖書の人物を訪ねて


近衛兵の百卒長 ユリアス


 パウロはエルサレムで暴徒に襲われ、正式な裁判を受けるためにカイザリヤに移されました。しかし総 督は自分の立場を利用しようとしてすぐには裁判を始めようとはしませんでした。ローマ市民権を持って いるパウロはローマ皇帝に直訴し、ローマに送られることなりました。その時ユリアスはローマ皇帝直属 の百人隊長で彼と数人の囚人を船に乗せてローマに連れて行く任務を託されました。

 ユリアスは初対面の時からパウロに好感を持ったようです。シドンに入港した時、ユリアスはパウロを 親切に取扱い友人たちと交われるように配慮しました。航海をするには難しい季節になり、パウロは危 険な事が起こると言ったのですが、船長や船主の意見が優先され、港を出るや地中海特有の大嵐に出 会い、座礁の危険があるので積み荷を捨て、ついには船具まで捨て、助かる最後の望みもなくなってし まいました。そのような中でパウロが船中のみんなに「船は失われるが命を失うことはないと昨日み使か らみ告げを受けたので、みんな元気をだしなさい」と励ましました。ユリアスは死ぬかも知れない状況の 中でもパウロがみ言葉から希望を持って生きようとする姿を見ました。暴風のため14日間漂流し、み言 葉通りにある浜に漂着した時、兵卒は囚人らが逃げるかもしれないと考え殺そうとしました。しかしユリア スは暴風の中で信仰によって強く生き船中の者を励ましたパウロの生き方に感動し、またローマ市民権 があることから止めさせました。276人全員が無事マルタ島にたどり着きました。島に滞在中パウロが 島の首長の父や多くの病人のために祈って癒したことで、島の人たちから尊敬を受けローマへ出航する 時には必要な品が与えられました。ユリアスは無事ローマに着き任務を果すことができました。

 ユリアスはパウロが航海中にしたこと、語ったことを思い出し、またマルタ島での癒しのみ業を見たこと でこれまで以上にキリスト教に関心を持ったことでしょう。彼が信仰を持ったとは聖書には書かれていま せん。私は近衛兵ユリアスが人生の中で問題に出会った時、パウロが困難の中でどのようにしたのかを 思い出しきっと祈ったのではと考えています。 参照 使徒27:1~28:14