大阪城東福音教会

聖書の人物を訪ねて


シャパンの子 アヒカム


 アヒカムの時代は預言者にとって厳しい時代で、ユダ王朝の末期で外敵の脅威の中にありました。預 言を語っても人々は耳を傾けようとしませんでした。その主な理由の一つはエレミヤがエルサレムがシロ のようになると預言したからです。昔シロには幕屋があり、礼拝がなされていました。しかし契約の箱が ぺリシテ人に奪われて以来,シロは幕屋としての使命を失ってしまいました。この町に神殿がある以上神 が外敵から守られると考えている人々にとって、その考えに逆らう預言をしたエレミヤに対して敵意をも って取り囲み、捕まえられそうになりました。

 エレミヤが預言していた同時代、預言者ウリヤも同じような内容を預言していました。しかし彼の預言に 立腹したエホヤキム王(在位BC609~598年)は彼を殺そうとし、エジブトにまで逃げた彼に追手をつかわ し捕え、エルサレムに連れ戻し王の剣で殺したのです。このように神の言葉を語ることは命の危険が伴う 時代でした。しかしエレミヤは人がどう思うかではなく、神の言葉を命がけで語り続けたのです。

 アヒカムの働きについてはエレミヤ書26:24にわずか一節と短い箇所に登場するだけです。彼の系図 を見ますと、彼はシャパンの子です。シャパンはヨシア王(在位640~609年)の書記官で、王の信任が厚 く、大祭司ヒルキヤが主の宮で発見した律法の書を最初に読み、王に取りつぎ、その後律法の書につい て教えを受けるために女預言者ホルダのもとに遣わされたことがありました。このことがきっかけで宗教 改革が起こりました。

 アヒカムは父から預言者に対して神の言葉を伝える器として大切にすることを教えられていたことでしょ う。人々がエレミヤの語る預言に反対する中で、彼が殺されないように守ろうとするのです。彼らの矛先 がいつ自分に向けられるかわからないような状況です。そのような危険な状態にある中で、アヒカムはエ レミヤをとうして神の言葉が人々に語られる必要があると信じ、エレミヤを命がけで守ろうとした勇気ある 人です。アヒカムが立ち上がったように、いつの時代でも神の側に立つ人が求められます。彼の子ゲダリ ヤはユダ王国が捕囚になった後、バビロンによって総督とされています。 参照 エレミヤ書 26:1~24