大阪城東福音教会

聖書の人物を訪ねて


アグル ~箴言編集者のひとり~ 


 箴言第30章の作者として聖書にアグルの名が記されています。「マッサの人」とあり、その地名は創世 記25:14にあります。そこはイシマエルの子孫が住んでいた場所です。彼はソロモン王の下で箴言を編 集する一員として選ばれ、彼の箴言が加えられたのです。

 アグルについてはほとんど資料が無く、彼が書いた箴言第30章から見ていく事になります。二人の人 物に対して自分が人より愚かで、悟りが無い者であるかを告白しています。これは彼自身が神の取り扱 いの中で自分の姿を悟ったからです。モーセは聖なる臨在の中で、靴を脱がされ、主の僕となることを命 じられました。サムエルは「しもべは聞きます。主よ、お話ください」と従順さを告白しました。パウロは天 からの光で自分の心の奥にある罪を示され、三日間そのことで断食して祈り、自我を砕かれました。謙 遜さは主との出会いの中で与えられるものです。私はアグル自身も主との交わりの中で深く取り扱われ た恵みの経験を持っていたと思います。

 次にアグルはうそ、偽りを遠ざけ、正しい生活が送れるようにと二つのことを求めています。彼がこれま でに人間を深く観察していることが判ります。さまざまな誘惑から来る欲望に負けた人を見ることで、彼は 信仰することは正しい生き方であり、その生き方を生涯貫き通すべきだと私たちに語っています。この 後、アグルは憎むべき世代として、自分を生んだ親をさげすむ世代、自分を清いとする世代、高慢な世 代、残忍な世代があることを憂えています。今もアグルの時代と同じく、間違った生き方をする人が多く、 人間の罪深さは昔も今も変わらないことを知ります。

 不思議なものが四つあるとして天を飛ぶはげたかの道、岩の上を這う蛇の道、海を走る船の道、男の 女に会う道であると書いています。このところでは特に異性の誘惑に重点が置かれ、人がその道を歩ん でいくなら滅んでしまうことを強く警告しています。耐えられないことは四つ、また賢いものが四つあると書 いています。彼はソロモン王のように人を知り、動物を知る中で、そこから人はどう生きるべきかを分か りやすく書きました。人生の学びは机上だけではなく、人間の世界であれ、自然界のさまざまなことに目 をしっかり向けるなら、多く学ぶべきことがあることを私たちに教えています。