メッセージ
「人を生かす愛」
牧師 大倉 昭元
戦後の日本経済を支えた一人に出光佐三氏がいます。彼の生活体験をみてみますとき、母が示した愛情がいかに大きかったかがわかります。父の商売がうまくいかなくなったとき、佐三は医者の養子に行くことが決まりました。しかし、彼にその意志がないことがわかると母は断固反対して息子の気持ちを大切にしたのです。高校時代に学費がとだえて退学一歩手前まできたとき、『学費は送る、安心して勉強しなさい』と激励してくれたのも母でした。青少年時代の出光氏は母の深い愛のもとに育ち、後年愛の経営をモットーにしたのも母の強い影響があったためです。
イエス様に出会った人達も、これまでにない大きな愛の影響をうけていったのです。誰も近づくことのなかったライ病人に対して、イエス様は手を伸ばして彼にふれられ『きよくあれ』といわれたのです。当時社会的に偏見をうけていた罪人や取税人と交わられたのも彼等の心の苦しみ、痛みを知り、心の交わりをもたれたのです。その内の一人ザアカイの場合もイエス様が愛のイニシアチブを取られました。彼はイエス様が自分の町にこられたことを知った時、取税人とも交わり、弟子の一人にも加えられたお方を是非みたいと願ったのです。大通りにはすでにたくさんの人達が集まっていました。背が低い彼は後ろからどうしてもみることができません。そばにあった木によじのぼり、高みの見物としゃれこんだのです。イエス様はその木の下にこられた時、上を見上げて『ザアカイよ』といわれました。親しい交わりにはかならず相手の名前を呼ぶことが大切です。これまで彼は町の人から『税金ドロボー』、『売国奴』と呼ばれていたものですからどんなに嬉しかったことでしょう。彼は自分をありのままに受けいれて下さったお方に愛を感ぜずにおれませんでした。イエス様はさらにことばを続け『今日私はあなたの家にとまることにしている』といわれました。その夜彼はイエス様との愛の交わりを通してこれまでの心の貧しさを知らされ悔い改めることができたのです。愛は人をいかしていくのです。
愛に生かされてこそ生きることが楽しくなってくるのです。あなたをいつもありのまま受け入れて下さるイエス様との出会いこそがあなたの人生をかえていくのです。
*大阪城東福音教会記念誌『福音のしもべ』より城東福音ニュース1985年10月号を掲載いたしました。