メッセージ
「より深い交わり」
牧師 大倉 昭元
電話相談(大阪ハート・クリニック・センター)をしていて、人が生きていく上でいかに多くの悩みがあるかを知らされます。悩みと一口にいっても、内容はその人の年齢や立場によってさまざまです。
クリスチャンとしていかされている私達にも、生きていく上において多くの悩みをかかえています。悩みがあることは不信仰の結果ではありません。イエス様は『世にありて、悩みあり』といわれました。大切なことは今かかえている問題、悩みをどうするかということではないでしょうか。考えることも大切ですが祈ることはもっと大切です。悩みの時祈るものの、思いわずらってしまい祈り抜くことがむつかしくなる時もあります。まじめな方であると、日頃の自分が悪いからと自分を責めてしまいます。そのような状態ではなんの答も見い出すことはできません。
ある方が礼拝の中で家庭内の問題を告白されました。それを聞いた人達にとりまして非常にショッキングなことでしたが、それを自分の問題として祈りはじめました。世間では自分の弱さ、欠点を示せばその人の評価は下がってしまいます。教会は神様を通して自分がいかなるものであったかを知っている者の集まりです。私達は弱さや欠点を持っているものですが、祈りを通して神様の力をみたいと願っているのです。この家庭も兄弟姉妹の祈りによって変えられていったのです。お互いがもっと自分のありのままを示し、祈り合うことが今の教会に求められています。毎週の礼拝にきて『ハレルヤ』、『感謝します』、『暑いですね。お元気ですか』という表面的な交わりであれば教会は変わらないことに目覚めていただきたいのです。また、礼拝にこられたとき私には何んの問題もありませんというような態度を示していてはお互いの中に真実な交わりが生まれるはずがありません。ソロモンは『友はいずれの時にも愛する。兄弟は悩みの時のために生まれる』(箴言17:17)といいました。
これからは礼拝の中で交わりの時を持つようにして、お互いが相手の重荷を負い合うようにしていきたいと願っています。一人一人が相手の名前を知るだけではなしに、今かかえている問題を語り合うことにより、これまでとちがった心のつながりが持てるようになります。神の愛が働くことにより互いに祈り合い、受け入れることにより、これまで以上に深い交わりが持てるようになることでしょう。教会にこられた方が誰一人さびしい思いを持ってほしくありません。『私は兄弟姉妹にありのまま受け入れられ、祈られている』というあたたかい血のかよった愛を体験していただきたいのです。
*大阪城東福音教会記念誌『福音のしもべ』より1986年 8月の「キャッスル」を掲載いたしました。