大阪城東福音教会

聖書の人物を訪ねて


宦官の長 アシペナズ


 ダニエルと数人の若者はユダヤの王宮から捕囚されバビロニアに連れて来られました。その時のバビ ロニアの宦官の長がアシペナズです。彼は宮廷の責任者でハーレムの管理もしていました。彼の元でダ ニエルたちは3年間宦官として特別な訓練を受けましたが、アシペナズの配慮があったことは確かです。

 ダニエルたちにバビロニアで特別な教育を受けさせたのは自国に役立たせる為であり、またユダ王国 を属国として支配する為です。アシペナズはバビロニアの王家の後継者となるべき人物を世話し指導す る立場も与えられていました。また王が戦いに出る時、バビロニアにとって益となる人物を探す任務も与 えられ、宦官の長として多くのことを行う有能な人でした。

 ダニエルたちは王宮で生活を始める中で一つの問題に出会いました。それは王族が食べる食事のこ とです。彼らはバビロニアに来てすぐ名前がバビロニア風に変えられた時は新しい名前を受け入れまし た。しかし食事に関してはレビ記11章に従って宗教的に汚れた食物は食べない決心をしたのです。ダニ エルは信仰を前面に出してユダヤ人として汚れた食物は食べないとストレートには言いませんでした。知 恵を用い10日間私たちを試してくださいと願い野菜と水を求めました。もしダニエルの健康が損なわれる ならアシペナズがその責任を問われるからです。アシペナズはダニエルの知恵とへりくだった態度を受け 入れ、彼の願いを許したのです。

 このことは私たちの生き方や伝道の方法に参考になります。伝道する上で必要なことは相手と良い関 係をまず持つことです。特に家族や親しく交わる友人との関係はダニエルのように謙遜さが求められま す。ダニエルたちの訓練期間が終わり、アシペナズは彼らを王の前に連れて行く時、これまでの交わりを 通して王は彼らを認めてくれるという自信があったことでしょう。事実王はダニエルの優れた知恵と人格 を認めたことで、アシペナズは大きな責任を果たすことが出来ました。アシペナズとダニエルの立場は異 なりますが、信頼しあう中でお互いの交わりが深められていき、よい関係が育てられたのです。アシペナ ズはその後も彼らの働きに関心を持ち続けたと思います。私たちもまた人との良いつながりを通して信 仰を証していくことが求められています。  参照:ダニエル書 1:1~20