聖書の人物を訪ねて
預言者アヒヤ
イスラエルはダビデ王の40年の治世の間、偶像から聖別し、国は領土を広げ、ユダ王国の300年の時 代で最も栄えました。次の王ソロモンは神殿を建てたのですが、女性に対する弱さから外国の女性たち
が持ち込んだ偶像を拝むようになり、神はイスラエルを分裂させることを決められました。この預言はア ヒヤに示され、具体的にはソロモンの部下だったヤラベアムに明らかにされました。
預言者アヒヤはヤラベアムに会い、野に出かけました。アヒヤは自分の着ていた着物を12に切り裂き、 そのうちの10切れを彼に受け取らせました。このことは王国の分裂を意味し、10切れは10部族を表しま
す。アヒヤは彼に10部族を与えると言い、ソロモン王が偶像を拝み、神の戒めを守らなかったからである と理由を言いました。
預言者アヒヤはヤラベアムに預言を伝えることで、そのことがいつ彼の上に起こるのかと思っていまし た。この預言がソロモン王に伝わり、ヤラベアムは身の危険を感じエジプトに逃げ、ソロモン王が死ぬま
でそこに滞在しました。その後ヤラベアムは人々のリーダーになりました。
ソロモンの死後、息子レハベアムが王となり民は重税から解放してほしいと願ったのですが、彼が更なる 税を加えると言った時、民の心は王から離れ、ヤラベアムは10部族(北王国)の王になり、預言は成就し
ました。しかしヤラベアムは、人間的な賢さをから、王国を作っても人々がエルサレムの神殿に行くなら 彼らの心を支配できないと考え、国内に2つの金の子牛の像を作り、これを神として拝むように命じたの
です。神が最も嫌われる偶像を作ってでも王位を守ろうとしました。北王国のこの悪習慣は、アッスリヤ によって国が滅ぼされるまでの200年間、すべての王たちによって偶像礼拝が続けられたのです。
さらにヤラベアムはソロモン王と同じように、近隣諸国との政治的同盟を結ぶという過ちを犯し、18人の 妻たちと60人のそばめを持ったのです。ヤラベアムは神によって王とされたことを忘れ、預言者アヒヤの
言葉に従わず、自己の地位や名誉を守る生き方を選びました。いくら有能な王であっても信仰から離れ ていくなら自己本位の生き方に陥ることを目の当たりに見て、預言者アヒヤは残念に思ったことでしょう。
参照 列王紀上 11:26~43 列王紀上 12:25~33