大阪城東福音教会

聖書の人物を訪ねて


ペルシャの王 クロス


 メデア・ペルシャの王クロスはユダヤ人にとっては良き王として歴史的に忘れることができない人物で す。70年間にわたるバビロン捕囚からの解放を告げ、エルサレムに帰還できるようにしてくれたからで す。

 彼は異邦人ですが名前と働きがイザヤ書の預言に記されています。預言者イザヤが召命を受けたの はウジヤ王が死んだ年(BC742)で、約50年間預言者として活躍しました。クロス王の在位はBC558~ 529年で、イザヤとクロスには140年以上の開きがあり、生きた時代も活躍した国も異なっています。しか しイザヤは神の時が来たときクロスを用いてバビロン帝国を倒し、ユダヤ人を捕囚から解放し、神殿の 基礎がつくられると預言したのです。(イザヤ44:28~45:7)

 神は預言者イザヤを通して、彼を「わが受膏者クロス」、新改訳では「油そそがれた者クロス」と呼んで います。イスラエルの国では王、預言者、大祭司を任命するとき油そそぎがなされました。クロスは異邦 人で、主を信じていなかったのに受膏者と呼ばれていることは、神は必要であれば主を信じない者を用 いてでも神のみ心がなされることを明らかにされたのです。このことが成就した時、歴史の本当の支配者 は人ではなく、神がすべての背後で働いていることを知ることができます。もう少し考えるならその当時い かにユダヤ人が不信仰で、神の目から見るならば主の御用に役立つ人がほとんどいなかったということ です。

 少年時代に捕囚されバビロンの王宮で王に仕え、メデア・ペルシャの帝国でも王に仕えたダニエルは、 エレミヤ書から捕囚期間がもうすぐ70年になることを知り、またイザヤ45章からクロスの使命を知った 時、改めて預言の真実さを知り、神がもう一度同胞を受け入れられることに、神の憐みを感じたことで す。

 クロス王はユダヤ人を解放し戦いに勝利して、領土を東はインドとの境から西はエジプト,トラキア(今 日のブルガリア)に至るまで拡大していく中で、心が高ぶり、ダニエルは彼の死を幻で示されましたが、歴 史的に調べると彼はカスピ海東方の遊牧民を討伐中の激しい戦いの中で戦死したと言われています。 参照 ダニエル8:1~4     イザヤ45:1~4