聖書の人物を訪ねて
ツロの王 ヒラム
王になったソロモンは父ダビデが願っていた神殿を建てることを決心します。すでにダビデは建築資材 を数多く準備していました。しかしどうしても必要な資材である良質な木材が必要となり、ソロモンは隣国
のツロの王ヒラムに使者を遣わし、神殿建築に必要なレバノンの香柏の材木を譲ってほしいと求めまし た。この木は一般にはヒマラヤスギと呼ばれています。50~60メートルに成長し、建築材料として特に耐
久性に優れた木です。当時地中海沿岸に面したツロの山には数多く自生していました。
ヒラムからすると宗教が違い、ダビデから見るとヒラムは異邦人でしたが、二人は大きな違いを超えて も信頼できる関係を持っていました。まず考えられることは二人の温厚な性格です。お互いの国には相
手にないものを持っていたことで、協力することが必要と考えていました。二人の王がお互いを受け入れ 合い、信頼できる関係をもつことは国同士の良い関係をもたらします。ヒラムはダビデのことに関して多く
の情報を得ていたことでしょう。ダビデがサウル王の娘婿になったものの王宮を追われたことを聞いた 時、その真意を確かめ、サウル王の妬みが原因であることを知りました。ダビデが王となった時、領土の
拡大のために無謀な戦争をする人でないことも知りました。ヒラムは王として神を信じ、真実に生きるダ ビデに対して心を開き、交わりが深められる中で、ダビデを愛する程の深いつながりをもったのです。
ダビデが死に、息子ソロモンが王になり、レバノンの香柏の材木を求めてきた時、ヒラムはソロモンが 父ダビデの願いを実現することを喜び、必要な木材をすべて用意しました。ソロモンはヒラムがそのよう
に愛の行為を示してくれたのは父ダビデとの親しい交わりがあったことを知り、ヒラムの人柄に敬服し、 人とのつながりの持ち方を教えられたことでしょう。
神殿が建てられるために神は未信者をも用いられたのです。私たちの会堂建設の時、未信者の方か らの大きな助けがあったことを決して忘れることができません。ダビデのように相手に信仰があるなしで
はなく、誰とでも交わることが大切です。あなたの周りにもヒラムのように助けてくれる人がいるかも知れ ません。また私たちは助けを必要とする方に対してすべきことがあれば、励まし、支えようではありませ んか。
参照 列王紀上5:1~12