聖書の人物を訪ねて
ヨアブの兄弟 アビシャイ
ダビデはサウル王の嫉妬のため命を狙われるようになり、エルサレムから離れました。しかしサウル王 はダビデを殺す為に執拗に追い求めていました。ダビデがハキラの山に身を隠していることがサウル王
の知るところとなり3千人の兵を伴ってその場所に来ました。
ダビデは斥候を出し、サウル王のいる場所を確認しました。ダビデは側近のものに「だれが私と共にサ ウルの陣地に下って行くのか」と言うとアビシャイが「わたしが一緒に下って行きます」と答えました。ダビ
デと行動を共にするという事は名誉なことですが、今回の場合はこれまでで最も危険な行動です。夜遅く 二人がサウル王の陣地に行くとサウルは深く眠っていました。これを見たアビシャイは、サウルを殺す時
です、と感情的に言ったところ、ダビデは油注がれた人を殺してはならないと制止しました。ダビデはサ ウル王の側に行ったしるしとして槍と水の瓶を手にして自分はサウル王に何の恨みもないことを証明し
たのです。アビシャイはダビデの信仰心を学ぶべき時でした。
しかし彼のその後の生き方を見ると軍人として優れた人物ですが感情的になってしまうことが度々あり ました。弟アサヘルを殺したアブネルに対して、兄のヨアブと一緒になって彼を殺しています。ダビデの息
子アブサロムが謀叛を起こし、ダビデ王が一時エルサレムを離れた時,ダビデを激しく非難したのがサ ウル一族のひとりシメイです。ダビデが再びエルサレムに途中,アビシャイがシメイの姿を見つけた
時、彼を殺そうとしましたが、ダビデは今はその時でないと言って止めさせました。
アビシャイはダビデの三十勇士の長で、戦いにおいて一度に300人を殺したり、エドムとの戦いで勝利 し、またぺリシテの巨人の手からダビデを救ったこともありました。ダビデが敵地にある井戸水を飲みた
いと言った時,命の危険をおかしつつ水を汲んだこともありました。華々しい功績を残していますが、信 仰者としての生き方より、ダビデに終生忠誠をつくした生き方をしていたと言えます。
参照 サムエル上26: 1~17 サムエル下 3:26~30 サムエル下19:16~23