聖書の人物を訪ねて
賢い女 アビガエル
サウル王の妬みのため命を狙われダビデはやむなくエルサレムから離れ、逃亡生活が始まりました。 パランの荒野でナバルの財産である羊を外敵から守ったことがありました。ダビデはナバルのところに
10人の部下を遣わし、そのことで返礼の贈り物を申し出たところ、罵られ拒否されたのです。ダビデはす ぐさま陣営にいる部下に剣を!と叫び、400人の部下を引き連れてナバルのところに向かって行きまし た。
アビガイルは夫ナバルがしたことが愚かことで、このままでは大変なことが起ることを察し、ダビデとそ の一行に渡すべき食べ物を急いで用意させ、若者たちを先に行かせ、彼女も山陰を下り、ダビデのとこ
ろに向ったのです。彼女は隊列を急がせて下る途中で、剣を持ったダビデとその一行に出会いました。 彼女はロバからすぐ降りて,ダビデの前に進み出てひれ伏し、さらに近づいた時、彼の足もとにひれ伏し
ました。このことで敬意を表しつつダビデに対して「わが君」と呼び、自分を「はしため」と言い、その言葉 が何度も会話の中で繰り返されています。夫の邪悪な態度を心から詫びつつ、夫ナバルの罪を自分の
罪として心から許しを求めました。彼女の賢い言葉とへりくだった態度で、ダビデの心にあるナバルの無 礼な態度に対する怒りが和らいでいきました。
彼女はダビデに対して命をかけて話をしている中で、ダビデの口から「あなたが私のところに会いに来 て、知恵ある言葉で許しを求めたことで、あなたは無事に家にお帰りなさい。私はあなたの願いを許しま
す。」と言われほっとしました。ダビデもまた彼女の真実な言葉と態度で血を流さずに済んだことを主に感 謝し、彼女が用意した贈り物を受け取りました。もし人間関係がこじれた場合、言い訳はせず、素直に過
ちを認め、許しを求めることが大切で、それはこのところからも学ぶことができます。
妻のアビガエルが命乞いに行っていた時に、ナバルは王がするような豪華な酒宴を開いていたので す。翌朝酔いがさめた時に詳細を聞いた彼の心はそのうちに死んだとあります。聖書には主がナバルを
打たれたと書かれています。主は高ぶるものをそのままにされません。ナバルの死後ダビデはしもべを アビガエルのところに遣わし、結婚を申し出ました。彼女は早速ダビデのもとに行く支度をし、5人の侍女
を伴って彼の妻になりました。
参照 サムエル記上25章1~42