大阪城東福音教会

聖書の人物を訪ねて


パウロの筆記者 テルテオ


 新約聖書のローマ人への手紙はパウロの代表的な書簡の一つです。パウロはローマに行きたいという 強い願望を持っていましたが、まだ行ったことはなかったのです。当時ローマは世界の中心地で、そこを 行き来していたクリスチャンから多くの情報を得、ローマの教会に対して、特に信仰義認について書いて います。

 16章22節を読む時、この手紙はパウロの直筆ではなく、テルテオがパウロの口述筆記をしていたこと が分かります。ご存知のようにパウロは晩年目を悪くしたようで、自分で字を書く場合、ほかの人が書くよ り大きな字になってきていました。そのためテルテオの助けが必要でした。

 筆記者としてテルテオの名前が記されたのは、パウロの強い勧めがあったと思われます。いずれ彼は ローマの教会に行く機会があるだろうし、ここに彼の名前を加えることで、彼の人柄やパウロとのつなが りが分かることで、今後の彼の働きに必ず益となるとパウロが考えたからでしょう。

 筆記するには、パウロが言わんとする内容を正確に理解する力が求められます。博学のパウロの高い 知識と言葉についていけたのは、テルテオもまた多くの学びをし、信仰もしっかりしていたと思われます。 テルテオはパウロのそばにいて、寝食を共にし、祈り、交わる中でこれまで以上にパウロを理解しつつ、 筆記者として書き続けついに完成させました。最終チェックを受けるために、テルテオはパウロに手紙を 一語一語ゆっくり読みながら、最後にパウロから「長い間ありがとう。できるだけ早い方法でこの手紙を ローマに送ってほしい」と言葉をかけられ、テルテオもまた大きな仕事が終わったことに感謝したことでし た。

 一人の人が表舞台で活躍する時、必ずその人を支える人がいます。パウロはローマ人への手紙をロ ーマの教会に送ることができたのは、テルテオのようなへりくだった人物が側にいたからです。パウロは 筆記者の名前を加えることで、彼の労をねぎらうと共に、自分自身もいろいろな人の助けが必要な者で あることを現わしました。あなたのそばで協力してくれている人に対して、愛の配慮と感謝をいつも忘れな いようにしたいものです。 参照 ローマ16:22