聖書の人物を訪ねて
ハナニ
ハナニはネヘミヤ記に登場する人物でエルサレムに住んでいました。国はバビロンによって滅ぼされ、 多くの民はバビロンに捕囚されたのです。預言者エレミヤは70年後にエルサレムに帰国できるという預
言をしました。そのことはバビロンを滅ぼしたペルシャの王クロスによってユダヤ人に帰国命令が与えら れたことで成就しました。(BC538年)多くの人は帰国したのですが、ペルシャに留まった人もいました。
ハナニはバビロンからエルサレムに戻ったものの、エルサレムの町の城壁はバビロンによって破壊さ れ、町を守る大きな門も火で焼かれたままの状態です。人々は何とか生活を維持しつつも、破壊された
町を見ても、仕方がないというあきらめの状態でした。ハナニはこの町を再建するためにはどうすればよ いか考えていたのです。人生に問題はつきものです。その時どうすればよいかとあれこれと考えたり、何
とかならないかと思案をすることは答えに近づく時です。またそのためにも祈ったことでしょう。ハナニは 数人の者と共にペルシャのスサにいる兄ネヘミヤのところに出かけました。(BC445年)その時、ネヘミ
ヤは王の献酌官をしていました。
ネヘミヤは数十年ぶりに弟ハナニと再会し、安否を尋ね、その後気になっているエルサレムの現状を 聞きました。城壁が崩され、門が焼かれたままの状態と言うことは敵から命を守ることができないことで
す。さらに帰国した人達がそのために無力になっている現状を知った時、ネヘミヤは泣き、悲しみ、断食 をして祈り始めたのです。ハナニにとって兄のそのような姿を見た時、エルサレムにいる人たち以上にエ
ルサレムのことを案じていたことを知ったのです。
その後ネヘミヤとハナニがどのような話をしたかは聖書に記されていません。はっきりしたことはハナ ニが伝えたことがネヘミヤの心にしっかり残ったということです。ネヘミヤは王のゆるしを得てエルサレム
に行き、民の協力のもと50日間で城壁を再建し、ハナニをエルサレムを治める人として選びました。その 理由を聖書は「彼は多くの者にまさって忠信な、神を恐れる者であったからである」と書かれています。こ
の言葉はまた私たちにも求められていることでもあります。
参考 ネヘミヤ記1:1~11
ネヘミヤ記7:1,2