聖書の人物を訪ねて
神の人 ハナン
ハナンはエレミヤ書35章に一度しか登場していません。聖書は彼を「神の人」と記しています。他にそ のように呼ばれた代表的な人物にモーセ、サムエル、エリヤ、エリシャがいます。彼はエホヤキム王(在
位BC609~598)の時代の人物です。
ハナンの名が登場する前に、レカブ人のことが記されています。BC599年にバビロンがシリヤを攻撃し たため、レカブ人がエルサレムに逃げ込んできました。先祖はユダ族と関連があり、神を信じ、忠実に仕
えていました。彼らは先祖の言葉に従い、ぶどう酒を飲まず、畑も持たず、天幕生活を250年も続けてい ました。彼らは預言者エレミヤから招かれたことで、特別な預言があると思ったのですが、何とぶどう酒
をすすめられ、即座にその申し出をきっぱり断りました。このことはレカブ人が先祖の言葉を守った良い 例で、ユダヤ人は律法を守らず、預言者の言葉を聞かなかったので、エレミヤはエルサレムの住民に対
して警告を与えつつ、律法に忠実に生きることを教えようとしたのです。
ハナンはどのような立場であるかは明確に記されていませんが、エルサレムの主の家には彼専用の 部屋があったことから、祭司である可能性もあります。それなりに高い地位にあったことが分かります。
またエレミヤが彼の部屋を借りてレカブ人を招いたことからして、お互いつながりがあったようです。
ハナンが神の人と呼ばれたのは、彼の生き方が他の人と違っていたからです。神の人とは神のみ心に 合わせた生き方を行う人です。その生き方ははっきりしていて、神第一の生活です。そのため聖書をよく
読み、神がご覧になるのは信仰であることを覚えつつ、聖書にしるされている神のみ心を生活で実践し ていたのです。彼の生き方が他の人と違い、言葉も生活も清く正しい生活をしていたからこそ神の人とし
て認められていきました。ご存知のように「クリスチャン」という言葉は教会の外の人達が信者の生活ぶ りを見て彼らはキリストのような人、すなわちクリスチャンと言い出したのです。私たちの信仰生活は周り
の人にも分かるような生き方が求められています。ハナンも初代教会の信徒も良い評判を周りの人達か ら得ています。
参照 エレミヤ35:1~19