大阪城東福音教会

聖書の人物を訪ねて


マッサの王 レムエル


 レムエルは旧約聖書の箴言第31章の著者として名が記されています。ユダヤ人は彼をソロモンと同 一人物として考えていますが、1節ではレムエルはパレスチナ東方にあるマッサの王と書かれています。 彼のことは聖書の中でここでしか出てこないので箴言31章からみていきます。

 彼は多くの教えを母から受けたことから、人格を築く上で家庭での親子関係がいかに大切であるかが 判ります。イギリスのある町で青少年の犯罪率が低いので調べてみると、そこでは母親たちが幼い子供 に絵本をよく読み聞かせていることが判りました。母親とのスキンシップが豊かにもたれる中で子供の心 は安定し、健全に成長していたのです。

 レムエルの母は将来この子が王になるために飲酒の害と女性との快楽に陥って国を滅ぼすことがない ように警告しています。私の周りでも異性の問題で家庭が崩壊したり、酒で失敗した人が多くいます。い つの時代でも、特に男性はこの二つのことに注意が必要です。地位が高くても、理性がどれほどあると いっても、それにおぼれてしまうと、全くの別人になってしまうこともあります。

 次は女の人、特に家庭婦人の生活ぶりが記されています。この女性は理想の婦人像で、彼の母と重な っている部分が多かったと思われます。ここに登場する婦人についての結論は「しかし主を恐れる女は ほめたたえられる」(箴言31:30)と記されています。恐れるという訳では意味が不十分で、原語では「畏れ る」という意味です。彼女は神を敬う心をしっかり持ち、自分自身の生き方が主の前に正しくありたいとい う気持ちを常にもち、神に喜ばれる心で夫や子どもたちと接していく中で、彼女の人格が形成されてい き、内側から変えられていったのです。

 人に言われたことを行うだけで十分仕事をしたとはいえません。自分から気がつく人が仕事をきちんと することができるのです。今日のマニュアル化された時代では、注意しないと個性が失われ、仕事の意 義も見出せなくなることがあります。信仰することは一人ひとりの個性が生かされる生き方です。聖書の 中で神に用いられた人は自分の働きを知り、自主的に主に仕えました。この婦人も何をすれば良いのか とよく考えた生き方を積み重ねていく中で、まわりの人たちから、また家庭でも信用を得、認められたの です。お互いが神に忠実に生きていく中で、信頼が増していき、落ち着いた家庭が築かれ、周りの人とも 確かなつながりが生まれていくのです。