聖書の人物を訪ねて
詩篇73編から見るアサフ
詩篇は150篇の歌が集められ、その中でイスラエル王ダビデの賛美のが最も多く、次に多いのはアサ フの賛美で、詩篇50篇、および73~83篇を歌っています。
ダビデはイスラエルの王となり、契約の箱をエルサレムに運び、礼拝の中で主に向かって賛美するよう にしました。そのために契約の箱の奉仕に携わっていたレビ人の中から、聖歌隊や楽器を奏でる人たち
が選ばれました。アサフの父べレキヤは神殿で賛美を歌う者となりました。その奉仕は子に受け継がれ ていきました。アサフは音楽の才能に豊かに恵まれ、詩篇73篇では、特に日常生活の視線から主に向
かって賛美をしています。
アサフは神を軽んじながらも経済的に豊かで、幸せそうな生活をしている人を見た時、疑問を持ち矛盾 を覚えました。このような問題や疑問を主に訴えているアサフの姿に、何でもはっきりさせ、その答えを
得たいという信仰の積極さが見られます。世の中にはさまざまな矛盾があり、それに気づいても深く考え なかったり、そんなものだと思い、答のないままに終わってしまうことも多いように思います。アサフは聖
所に行って、そこで答えを見出しました。悪人がどのように豊かな生活をしていても、滅ぼされる存在で あることをはっきりと示されました。アサフ自身が今生きているということは主に保たれ、導かれ、いずれ
栄光にあずかる者とされることを悟った時、この世の欲望に振り回され、妬みの心を持ってしまう自分が いかに愚かなものであるかを知らされました。アサフは誰もが持つ疑問に対して、正しい生き方を明らか
にしました。不正をしながら金持ちになった人に嫉妬心を抱くことがあっても、今も御国に行っても慕うべ きお方と共に生きることこそが正しい答えであり、真の答えだと教えられました。アサフにとって人生に疑
問があっても、主の解決が与えられるや、それが賛美にできるということは彼の音楽の賜物です。
アサフは今を大切に生きつつ、さらにこれまでのイスラエルの長い歴史の中で、主がどのような働きを されたかを覚えながら賛美をしています。人は変わりやすく、信仰に浮き沈みがあっても、主なる神は決
して変わることがなく、まことに主なる神は信頼すべきお方であることがはっきりしました。だからこそアサ フはその主に目をとめて「私は神にむかい声を上げて叫ぶ」と感謝な気持ちもこめて力いっぱい歌ってい
ます。