泉のほとり
2023年7月
七月の空には葉の緑を深くした木々が重なるように枝を広げています。地上にすっくと立つ木々を支えているのは、言うまでもなく地面の下に張り巡らされた根です。以前、植木屋さんが紅葉とザクロの木を庭に植えに来てくれたときのことです。布で保護された何本もの根の間には岩を小さく砕いたようなかけらが挟まり、無数のひげ根が揺れていました。地中に水を求めて格闘した痕跡なのだと、目に触れることのない根が、けなげに思えてじんとしてしまいました。知らないところで誰かに祈られ、支えられて立っているのは私たちも同様なのかもしれませんね。(I)