大阪城東福音教会

私の信仰

「試練のときに主が用意される避けどころ」


 「神は真実である。あなたがたを耐えられないような試練に
     会わせることがないばかりか、試練と同時に、
 それに耐えられるように、のがれる道も備えて下さるのである」

 2023年11月、度重なる血尿を心配して検査を受けました。超音波検査で腎臓結石が見つかり、これが原因だろうと医師から言われましたが、念のために撮ったCT画像には膀胱に影が映り、癌と診断されました。退職して大きな問題もなく平穏な生活の中、正に青天の霹靂でした。

 11月末に膀胱鏡手術を受けましたが、癌が皮膚組織にまで進行していたためすべては取り切れませんでした。これ以上の処置はここではできないと言われ、関西医大病院を紹介してもらいました。そこで膀胱の全摘出手術を勧められましたが、娘婿の会社の診療所から紹介された大阪医科薬科大学病院で「膀胱の温存療法」を受けることになりました。担当医師の説明では、膀胱を全摘出しても進行状況から5年生存率が50%程度ですが「膀胱の温存療法」では70%以上の生存率があるといわれました。ただし保険の適用外になるとの説明でした。

 全摘出してストマでこれから生きていくか、保険適用外の「膀胱の温存療法」を受けるか悩みましたが、自分で結論を出す前に妻が「膀胱の温存療法」の手続きをはじめていましたので身を任せることにしました。

 年が明けて1月5日、膀胱鏡手術の再手術を受け、取れずに残っていた癌を電子メスで焼いて除去しました。そして2月から「膀胱の温存療法」が開始されました。「膀胱の温存療法」は、骨盤内に放射線を1日1回で25回、抗がん剤の点滴治療2回、太ももの動脈から直接膀胱に抗がん剤を注入する治療を行いました。放射線を10回受けたところで腸炎を起こして下痢がはじまりました。抗がん剤の副作用で吐き気、動脈からの抗がん剤の注入ではお腹全体の痛みと吐き気に襲われ、退院するまで吐き気が治らず食事もとることができませんでした。

 辛い試練ではありましたが、これを通してイエス様が私にお示しくださったことがあるように思います。もし最初の超音波診断だけでCTをとらずに帰っていたら、自覚症状のない進行性の癌ですので発見が遅れてとんでもないことになっていたと思います。これは偶然ではなくイエス様が働いておられたのだと感謝しています。

 「膀胱の温存療法」の治療では、副作用があり本当に辛く苦しい思いをしました。祈りによって劇的に病が癒され奇跡が起こることはあると信じます。しかし、私の場合、入院中に助けてと何度も声をだしてお祈りしましたが、痛みや苦しみが劇的になくなることはありませんでした。ただ、兄弟姉妹が大切な時間をさいて私のためにお祈りしていただいていることを思い、励まされ、強められ乗り切ることができたと思っています。これこそが、主が与えられた試練の避けどころだったと信じています。そして乗り越えられない試練も与えられませんでした。胃腸の調子はなかなかもとに戻りませんが、4月の膀胱鏡検査、6月の検査手術による細胞検査、そして9月のCT検査でも癌の再発も転移もなく順調です。

 試練に遭うと、お祈りして主の働きに期待し奇蹟や物理的な結果に目を向けてしまいますが、信仰の本質は愛だということが少しわかったように思います。お祈りを捧げてくださった牧師先生や兄弟姉妹に心から感謝し、入院生活を支えてくれた妻や子供たちの思いにも心から感謝します。