大阪城東福音教会

私の信仰

「悲しみは笑いにまさる(伝道者の書7:3)」


 2019年1月、母が天へと召され、その年の9月、小学6年だった息子は学校に行けなくなりました。朝起きられなくなりお昼頃にやっと起きられる状態。しばらく休んでも回復せず、いくつもの病院へ行き「起立性調節障害」と診断。倦怠感や起床困難、めまい立ちくらみなど、自立神経の異常疾患。思春期の時期に発症しやすく中学生では10人に1人の割合。医師からは「ストレスをためないように」「大人になって身体が出来上がれば症状はおさまります」と言われました。薬を処方されましたが変化はありませんでした。学校に行けない息子を見ると涙があふれ、ランドセルを背負った小学生を見ると心が締め付けられる思いになりました。笑顔が消えた息子。これからのことを思うと不安に押しつぶされそうで、私自身も気力を失いかけていました。このままではいけないと思い、私は学校の先生やスクールカウンセラー、市の発達支援センターに相談。私自身も紹介された精神科を受診、不登校の親の会に参加、フリースクールを見学、学校以外の居場所を探しました。行く所々で悩む私に共通してかけて下さる言葉がありました。「今はゆっくり休む時。無理をせず、ストレスをためないように。長い人生から見たらほんの一時に過ぎない。人生まだまだ長いのだから大丈夫」時々この言葉を思い出しては自分を保っていました。しかし、息子は昼頃起きてからずっとゲーム。勉強は一切しない。夜中もゲーム。昼夜逆転の生活。12歳の息子の毎日。私はこの現実から「きっと大丈夫」と思える気力はありませんでした。せめて夜寝るようにしてほしいと思い「遅くまでゲームしてると眠れなくなるから11時頃にはやめるようにしたら?」と言うと「夜になると生きていたくなくなる。でもゲームしている間は考えないでいられる」との返事。この言葉を聞いた時、今までの子育ての常識を捨て、「生きていてくれるだけで感謝」と本気で思わされました。

 24年前、群馬に来た当初から今もお世話になっている牧師先生がいます。いつも息子のことを心配して祈り続けて下さっています。ある時先生が言われました。「暗闇の中で過ごすどうにもならない絶望の時こそ、最もかけがえのない時。息子さんは今、人生の中で最も大事な時を過ごしているのです」聞いたことのない言葉。引きこもることしかできない12歳の息子。

 常識的に考えれば負の時間、それがかけがえのない時間とは。一つの出来事の中に次元の違う二つの世界がある。この世は事実らしく仕組まれた常識、価値観の中から人を測る世界。「真実がなく、誠実がなく、神を知ることもない」世界。もう一つの世界が言う。「この世と調子を合わせてはいけません」(ローマ12:2)状況は変わらずとも私の中で世界が変わりました。それから息子のため、毎日の様に一緒に出かけました。それは私にとってのかけがえのない時間、息子と共に分かち合える豊かな時であったことに気付かされました。「苦しみにあったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました」(詩篇119:71)かけがえのない贈り物に感謝。今、息子の体調は落ち着き、行ったり行かなかったりしながら自分のペースで通信制の高校に通っています。